子宮脱の初期症状は?原因や治療法も併せて解説
- 子宮脱は骨盤底筋が弱まることで子宮が下がり、膣から飛び出すような感覚が初期症状として現れます。
- 尿漏れや違和感、下腹部の重さを感じることもあります。
- 出産や加齢、過度な腹圧が原因として挙げられます。
- 初期段階では骨盤底筋トレーニングが効果的で、進行を遅らせることが可能です。
- 症状が進むとペッサリー挿入や手術治療が必要となる場合があります。
- 早期に婦人科を受診し、症状に合わせた治療を受けることが大切です。
子宮脱という言葉は、それほど一般に浸透していません。
症状についてはなおさら知らない人も多く、初期症状が目立たないため、知らない間に症状が進行していたという人も少なくないのが実際のところです。
本記事では、子宮脱や子宮脱の初期症状について解説します。
参考にして、自分の状態を知る手助けにしてください。
子宮脱とは?

子宮脱とは、文字どおり子宮が膣から外に出てしまっている状態です。
通常子宮は膣の内側にあり、外に出てくるようなことはありません。
ところが、子宮を支えている骨盤底筋にトラブルが発生すると、子宮を支えきれなくなり外に出てきてしまうのです。
放っておくと深刻なトラブルに繋がる可能性が高いため、症状が出たら治療しなければなりません。
子宮脱の症状の流れ
子宮脱の症状の流れは、初期→中期→後期と移り変わっていきます。
一気に症状が進むことはほとんどないことも、子宮脱の特徴のひとつです。
そのため、ひどくなる前に気づくチャンスが多いともいえます。
しかし女性器に関わるトラブルは言いづらい、と考える人は少なくありません。
そのため、初期症状の段階で気づいたとしても、「そのうち治るのでは…」と治療に消極的になってしまう人が多いです。
初期症状
子宮脱の初期症状は、ほぼ無いと言われています。
正確には体の中で子宮が下がってはきているのですが、見てわかったり触ってわかるようなものではありません。
そのため、婦人科などで診てもらった際に指摘を受けて気づく、というケースが多いです。
ただし中期に近くなってくると、しゃがんだり腹筋を使ったりした際に、何かが膣から出るような感覚を覚えるようになります。
中期症状
さらに症状が進んでくると、股間に丸くて固いものがあたるような感触を、はっきりと覚えるようになります。
大きさはピンポン玉や、鶏卵の頭程度の大きさです。
これが子宮であり、ここまで症状が進むとほぼすべての人が気づきます。
理想としてはさらに前の段階で気づき、治療した方が良いですが、現実問題としてこの段階で気づく人がもっとも多いです。
後期症状
後期になると、子宮に引っ張られて周りの臓器も元の位置より下に下がり始めます。
子宮は外に出ていないものの、代わりに直腸など他の臓器が出てしまっているというケースも見受けられます。
常に股間に異物感があるようになり、擦れて痛みや出血の原因になったりします。
早急に医療機関での治療が必要な状態であるため、「仕事があるから」などと後回しにせず病院に行きましょう。
子宮脱の進行段階
子宮脱は、進行の程度によって4つの段階(グレード)に分けられます。症状がどの程度進んでいるかによって、日常生活への影響や治療の選択肢が変わってきます。ここでは、それぞれの段階でどのような状態になるのかを見ていきましょう。
ステージⅠ(軽度)
この段階では、臓器がわずかに本来の位置からずれている状態ですが、他の臓器を圧迫するほどではありません。多くの場合、自覚症状がないため、定期的な婦人科検診で初めて指摘されることもあります。骨盤臓器はまだしっかりと支持されている状態です。
ステージⅡ(中等度)
この段階になると、骨盤周辺の重さや圧迫感、引っ張られるような違和感を感じることがあります。また、臓器が正常な位置からずれているため、性交時に痛みや不快感を覚える場合もあります。ただし、臓器は体内に留まっている状態です。
ステージⅢ(高度)
症状がより頻繁に、より強く現れるようになります。膣内にしこりや膨らみを感じたり、咳・くしゃみ・笑った際などに、膣の一部が一時的に体外へ飛び出すこともあります。
ステージⅣ(完全脱出)
最も進行した段階で、重度の症状が複数現れ、日常生活に支障をきたすほどの不快感を伴います。膣の外側に臓器の一部が突出した状態が見られます。
子宮脱に初期症状段階で気づくには?
子宮脱の初期症状段階で気づくためには、正しい知識を持っている状態で、定期的に婦人科・美容クリニックに行くことが有効です。
残念ですが、子宮脱の初期症状に対し、自分の感覚だけで気づくことはほぼ不可能です。
そのため、「子宮脱になっているかもしれない」と念頭に置いておき、医師に診てもらうことが有効です。
実際に症状が出るまでいかないという人は多いですが、自分の体のためと考え、通院を心がけましょう。

「これって子宮脱かも?」セルフチェックリスト
なんとなく膣のあたりに違和感がある。しかし、「年齢のせいかな」「疲れた日だけだから大丈夫」と思って見過ごしていませんか。そんなときに役立つのが、子宮脱のセルフチェックです。
例えば、最近になって膣の奥に何かが触れているような気がしたり、午後になると下腹部が重くなったりするような感覚がある方は、子宮脱の初期症状の可能性があります。特に、立ち仕事のあとにその違和感が強くなったり、下着が擦れることで陰部に刺激や痛みを感じたりするようになった場合には注意が必要です。
以下の項目に当てはまるものはありませんか?
・膣の奥に何かが触れているような感覚がある
・午後になると下腹部が重くなる
・立ち仕事のあとに違和感が強くなる
・下着が擦れて陰部に刺激や痛みを感じる
・骨盤周辺に圧迫感や引っ張られるような感覚がある
・性交時に痛みや不快感がある
・膣内にしこりや膨らみを感じる
・咳やくしゃみをしたときに膣に違和感がある
・排尿・排便時に違和感や困難を感じる
・膣の外側に何か触れるものがある
チェックが1つでもついた方は、早めの受診をおすすめします。症状の程度によって適切な治療法が異なりますので、お一人で悩まず、まずはご相談ください。
子宮脱の診察と検査の流れ
子宮脱が疑われる場合、多くの医療機関では、段階を追って丁寧に診察や検査が行われます。特に、はじめて婦人科を受診する方にとっては、「診察では何をされるのだろう」「痛みはあるのかな」といった不安や緊張を抱えることもあるでしょう。
しかし、診察や検査はすべて、患者さんの身体的・心理的な負担をできるだけ軽減できるように配慮されています。医師や看護師が寄り添いながら、安心して受けられる環境が整えられていることがほとんどです。
ここでは、一般的な子宮脱の診察・検査の流れについて、具体的にわかりやすくご紹介します。受診を検討している方や、ご家族のサポートをしたいと考えている方も、ぜひ参考にしてみてください。
問診
診察の最初のステップとして行われるのが問診です。これは医師が患者さんの現在の症状やこれまでの健康状態について詳しくお話を聞く大切な時間です。例えば、「いつ頃からどのような違和感を覚えるようになったのか」「立ち上がったときや歩いたときなど、どんな場面で症状が強く出るのか」など、日常生活の中での変化を具体的に尋ねられます。
さらに、婦人科系の病気との関連を把握するために、初経が始まった時期や閉経のタイミング、月経の状態についても質問されることも。妊娠・出産の経験があるかどうか、またその回数や分娩方法、さらには過去にかかった病気や手術の経験なども確認されます。これらの情報は、症状の背景にある要因を探るために非常に重要であり、より適切な検査や診断へとつながっていきます。
視診・内診
問診のあとには、視診と内診が行われます。視診とは、外陰部や膣の周囲を目で見て確認する診察です。炎症が起きていないか、出血や腫れがないか、膣壁に膨らみが見られないかといった点を中心に、医師が慎重に観察。視診によって外側から見える異常の有無をチェックすることで、内診に入る前におおまかな状態を把握できます。
その後、実際に膣の内部に触れて状態を確認する内診が行われます。内診では、医師が手袋を着けた指を膣内に挿入し、子宮の位置や大きさ、膣壁の下がり具合などを丁寧に調べるのです。子宮脱の場合、膣の中にどの程度子宮や他の臓器が下がっているかを確認することが重要であり、腹部を軽く押したり、腹圧をかけるように力を入れてもらったりすることもあります。
追加検査
視診と内診の結果から、より詳しい情報が必要と判断された場合には、追加の検査が行われることがあります。その代表的なものの1つが「膀胱造影検査」です。この検査では、膀胱に造影剤という特殊な液体を注入し、その様子をレントゲンで撮影します。これにより、膀胱や尿道の位置関係、排尿時の動きがどのようになっているのかを詳しく確認できます。
子宮脱が進行している場合、膀胱や直腸といった周囲の臓器にも影響が出ることがあり、排尿障害や尿漏れといった症状を引き起こすケースも。そうした合併症のリスクを正確に把握するためにも、この検査は非常に重要です。
子宮脱の原因
子宮脱の原因は、主に以下の通りです。
- 無理な出産
- ホルモンバランスの変化
どちらも中高年の女性に多い傾向があり、若い人で子宮脱に詳しい人は少ないと言えます。
また、まれではありますが子宮脱の理由に外部からの刺激があります。
陰部を触るくせがあったり、ウォシュレットで継続的に刺激を与えるなどしていると、確率は低いものの子宮脱が起こる可能性があるのです。
無理な出産
出産、特に無理な出産は子宮脱のリスクを高めます。
出産したからと言って、必ず子宮脱になるというわけではありません。
ただし、子宮脱の症状が表れた人のうち、90%以上が経産婦であることも事実です。
出産を経験すると、赤ちゃんが外に出てくる際、どうしても骨盤底に少なからず影響が出ます。
生んですぐは問題が無い場合が多いですが、年月が経ち閉経して、50~60代になる頃に子宮脱を発症する原因になるのです。
中でも、高齢妊娠での出産にあたって自然分娩を行なうと、よりリスクが高まると言われています。
もちろん、分娩方法は子宮脱のことだけを考えて決めることではありませんが、子宮脱予防のためには帝王切開を選ぶのも一つの手です。
ホルモンバランスの変化
ホルモンバランスの変化によっても、子宮脱になりやすくなります。
出産していても、若年層に子宮脱の症状が見られにくいのは、閉経前であるためです。
閉経前は女性ホルモンが活発に働いており、その影響で子宮脱になりにくい状態となっているのです。
しかし、閉経して女性ホルモンが以前ほど活発に働かなくなると、ホルモンバランスが乱れ体にさまざまな影響が出ます。
そのひとつとして、子宮脱になりやすくなるのです。
子宮脱の予防法
子宮脱は一度起こると自然に治ることはなく、進行を防ぐためには早期の予防がとても大切です。特に、骨盤底の筋肉を意識的に鍛えることや、生活習慣を整えることが、将来的なリスクを減らす大きなカギになります。ここでは、日常生活の中でできる予防法についてご紹介します。
骨盤底筋訓練(ケーゲル体操)
子宮を支えている骨盤底筋は、日常生活の中では意識しづらい筋肉ですが、加齢や出産、ホルモンバランスの変化などで徐々にゆるんでいきます。この筋肉を鍛えるために効果的なのが、ケーゲル体操と呼ばれるトレーニングです。
ケーゲル体操は、排尿を途中で止めるときに使う筋肉をぎゅっと締めて、数秒キープし、その後ゆっくり力を抜くという動きを繰り返す簡単な体操です。場所を選ばず、椅子に座ったままや、寝たままでもできるため、毎日の習慣にしやすいメリットがあります。
便秘の予防・改善
排便時に強くいきむ習慣があると、そのたびに骨盤底に強い圧力がかかってしまい、子宮脱のリスクが高まります。特に便秘が続いている方は、排便のたびに骨盤に大きな負担をかけている可能性があります。
便秘を予防・改善するには、まずは水分をしっかり摂り、食物繊維の多い野菜や果物、発酵食品を意識的に取り入れることが大切です。また、適度な運動を習慣づけることで、腸の動きが良くなり、自然なお通じが促されます。
適正体重の維持
体重が増えすぎると、そのぶん骨盤底にかかる圧力も大きくなります。特にお腹まわりに脂肪がつくと、常に下方向への圧力がかかるため、骨盤底の筋肉や靭帯に負担がかかり、子宮脱のリスクが高まります。
そのため、適正体重を保つことも、子宮脱の予防において重要なポイントです。急激なダイエットをする必要はありませんが、バランスの取れた食事と適度な運動を心がけ、健康的な体重をキープすることが大切です。

子宮脱の対策施術
子宮脱の対策施術は、主に以下の3つです。
- 運動療法
- ペッサリーリング
- 手術
ただし上記の3つは、すべてを同時に行うわけではありません。
症状の進行度合いによって、行うべき治療法が異なってきます。
まずは婦人科に行き、自分がどのような状態であるのか知ることが大切です。
運動療法
症状が軽度であった場合、骨盤底筋を運動療法で再度鍛えることで、症状が回復に向かいます。
ただし、自己判断で行うことは止めましょう。
自分の症状が軽度であるのか、運動療法で回復する段階なのか、どのような運動を行なえば良いのか。
そういったことは、実際に診療を受けてみなければわかりません。
自己判断で軽度だと断定し、トレーニングを行うことで悪化する可能性もあるため、まずは診療を受けましょう。
ペッサリーリング
ペッサリーリングは、運動療法では解決できず、体力面などの問題で手術もできない場合に用いられる治療法です。
膣にペッサリーリングと言われるドーナツ型のリングを挿入します。
そうすることで、入口を固定し狭めて、内臓が落ちてこないようにする治療法です。
手術に比べて格段に体の負担が軽くなりますが、2~3ヶ月に一度リングの交換が必要となります。
手術
子宮脱解消の手術は、言い換えると骨盤底の修復手術です。
子宮脱の解決方法としてはもっとも効果的かつ一般的であり、状況が許す限り手術で解決した方が良いでしょう。
特に症状が進行しており、運動療法では回復できない場合は、できるだけ手術を受けた方が将来的に楽です。
昨今は膣壁と臓器の間に壁を作り、補強する手術が、新しい術式として行なわれています。
よくある質問
子宮脱について調べていると、「これって自分にも当てはまるのかな」「こんな場合はどうなんだろう」と、いろいろな疑問が浮かんでくるかもしれません。ここでは、患者さんから特に多く寄せられる質問と、その答えについてご紹介します。
子宮脱は自然に治ることはありますか?
子宮脱を含む骨盤臓器脱は、放置して自然に治る病気ではありません。臓器が下がったまま何もせずに元に戻ることは基本的にないとされています。
ただし、軽度の症状であれば進行を抑えたり、症状を改善したりできるケースはあります。例えば、骨盤底の筋力を強化する体操や生活習慣の改善などの保存的治療によって、不快感や日常生活の支障を軽くできることがあります。
出産経験がなくても子宮脱になることはありますか?
はい、出産経験がない方でも子宮脱になる可能性はあります。一般的には出産によって骨盤底の筋肉が弱くなることで発症しやすいとされていますが、それが唯一の原因ではありません。
例えば、加齢や閉経にともなうホルモンバランスの変化、慢性的な便秘、長時間の立ち仕事、重いものをもつ習慣なども、子宮脱のリスクを高める要因となります。
若い世代でも子宮脱になることはありますか?
子宮脱というと高齢の女性に多いイメージがありますが、実は若い世代でも発症することがあります。特に、出産直後の20代~30代の女性に見られるケースもあり、これは分娩時に骨盤底に強い負荷がかかることで、支える力が一時的に低下してしまうことが原因と考えられています。
妊娠中に赤ちゃんの体重が骨盤にかかるだけでも、骨盤底筋がダメージを受けることがあるのです。
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子宮脱は、体の変化に戸惑いや不安を感じやすい症状です。「これってもしかして」と思っても、なかなか人には相談しにくく、一人で悩みを抱えてしまう方も少なくありません。そんなときこそ、専門的な知識と豊富な経験をもつ医師に相談することが、何より安心への第一歩です。
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記事監修医師プロフィール
院長/形成外科専門医・医学博士
伊藤 蘭
| 2003年 | 山口大学医学部卒業 |
|---|---|
| 2003年 | 京都大学医学部附属病院形成外科 日本赤十字社和歌山医療センター形成外科 |
| 2006年 | 島根県立中央病院 形成外科 |
| 2008年 | 松寿会共和病院 形成外科 |
| 2010年 | 京都大学大学院医学研究科課程博士(形成外科学)入学 |
| 2012年 ~2014年 | MD Anderson Cancer Center, Houston, USA. (Microsurgery Research Fellow) |
| 2014年 | Chang Gung Memorial Hospital, Taiwan(Microsurgery Fellow) |
| 2014年 | 京都大学大学院医学研究科課程博士(形成外科学)博士課程 所定の単位修得および研修指導認定 |
| 2015年 | 京都大学医学部附属病院形成外科 助教 |
| 2017年 | 城本クリニック京都院 院長 |
| 2020年 | ピュアメディカル西大寺院 院長 |
| 2021年 | くみこクリニック四条烏丸院 院長 |
| 2022年 | いとうらんクリニック四条烏丸開設 |




