女性の尿もれ治療ガイド
原因・最新の低侵襲治療・手術費用まで徹底解説
くしゃみや笑った拍子に尿が漏れる、急に尿意を感じて間に合わない
ーーこうした「尿もれ」は、年齢や出産経験を問わず、多くの女性が抱えるデリケートな悩みです。
放置すれば日常生活に支障をきたすこともあり、早めの対策が重要です。
本記事では、尿もれの種類や主な原因に加え、骨盤底筋トレーニングから最新の低侵襲治療(インティマレーザー・スターフォーマーPro・ヒアルロン酸注入)まで、幅広い改善方法をわかりやすく紹介します。
治療にかかる費用や注意点も解説し、安心して治療に踏み出せる情報をお届けします。
尿もれとは何か?
尿漏れ(尿失禁)とは、「自身の意図に反して尿が漏れてしまう状態」を指します。
この症状は性別や年齢を問わず、多くの方が経験するものですが、その原因は多岐にわたります。
場合によっては、薬の使用や手術による治療で症状の改善や解消が期待できます。
尿漏れが生活に支障をきたしている場合は、恥ずかしがらずに医療機関を訪れ、適切な治療方法を医師に相談することが大切です。
尿もれの定義と種類
尿もれには以下の主な3つの種類があります。
- 腹圧性尿失禁
咳、くしゃみ、運動などで腹圧がかかったときに尿が漏れる状態です。
骨盤底筋の衰えが主な原因とされます。 - 切迫性尿失禁
突然強い尿意を感じ、トイレに間に合わず漏れてしまう状態です。
膀胱の過活動が原因となる場合が多いです。 - 混合性尿失禁
腹圧性と切迫性の両方の特徴を持つ尿失禁です。
特に女性に多いとされています。
これらは種類によって治療法が異なるため、早期の診断が重要です。
医師と相談し、自分の症状に適した治療法を選びましょう。
尿もれの主な原因
尿もれの原因はさまざまですが、多くのケースでは特定の身体的・生活習慣的な要因が関係しています。
以下に、代表的な原因を詳しく解説します。
加齢による筋力低下
加齢に伴い、骨盤底筋や尿道括約筋が弱くなることが尿もれの主要な原因の一つです。
これにより、膀胱を支えたり尿道を閉じたりする力が低下します。
特に閉経後の女性では、エストロゲンの減少により筋肉や組織の弾力性が失われ、尿もれのリスクが高まります。
適切なトレーニングや治療により、これらの問題を改善することが可能です。
妊娠・出産の影響
妊娠中はホルモンバランスの変化や胎児の成長により骨盤底筋に負担がかかります。
特に自然分娩の場合、分娩時に骨盤底筋が損傷を受けることがあり、その結果として尿もれが発生することがあります。
また、帝王切開の場合でも、妊娠中のホルモン変化や体重増加が影響を与えることがあります。
産後のリハビリや骨盤底筋を鍛えるエクササイズが、改善に効果的です。
その他の要因(肥満、便秘など)
肥満は膀胱に余計な圧力をかけるため、尿もれのリスクを高めます。
また、便秘があると腹圧が頻繁にかかるため、骨盤底筋に負担がかかり、尿もれにつながることがあります。
さらに、慢性咳嗽(たばこや喘息が原因の場合が多い)や重いものを頻繁に持ち上げる習慣も、尿もれの発生要因となり得ます。
これらの要因を取り除くことで、症状の軽減が期待できます。
尿もれの治療法
尿もれの治療法は、近年では、従来の治療法に加え、低侵襲で高い効果を期待できる治療法が注目されています。
低侵襲治療は、体への負担を最小限に抑えながら高い効果を期待できる現代的な治療法です。
以下に、それぞれの治療法について詳しく解説します。
インティマレーザー治療の特徴
インティマレーザーは、レーザー技術を利用した治療法で、尿道周囲の組織を引き締め、尿漏れを改善します。
特に腹圧性尿失禁に効果があるとされています。
この治療法は痛みが少なく、施術時間も短いため、日常生活への影響を最小限に抑えることが可能です。
治療後すぐに通常の生活に戻れるため、忙しい方にも適しています。
また、エストロゲンの減少による組織の弾力性低下にも効果的です。
スターフォーマーProによる骨盤底筋強化
スターフォーマーProは、電磁波を利用して骨盤底筋を強化する治療法です。
通常のトレーニングでは鍛えにくい骨盤底筋を効果的に刺激し、尿もれの原因を根本から改善します。
施術中は横になってリラックスするだけで済み、1回30分程度の施術で効果を実感することができます。
複数回の施術を受けることで、骨盤底筋の持続的な強化が期待できます。
ヒアルロン酸注入
ヒアルロン酸注入は、尿もれ治療における低侵襲で効果的な方法の一つです。
尿道周囲にヒアルロン酸を注入することで、尿道の閉鎖機能を強化し、腹圧性尿失禁の症状を改善します。
この治療は施術時間が短く、通常30分程度で完了し、日帰りで対応可能です。
また、痛みが少なく、術後の回復も早いという特徴があります。
ただし、効果の持続期間は6~12か月程度とされ、再注入が必要になることもあります。
定期的なケアを行うことで、長期間の症状緩和が期待できます。
各治療法のメリット・デメリット
尿もれの治療法には、骨盤底筋トレーニング、レーザー治療、スターフォーマープロ、ヒアルロン酸注入、小陰唇縮小術など多岐にわたります。
これらの治療法は症状や原因に応じて効果的ですが、それぞれに利点と留意点があります。
自身に最適な方法を選ぶためにも、各治療の特徴を理解することが大切です。
インティマレーザー治療のメリット・デメリット
メリット
- 痛みがほとんどなく、施術後すぐに日常生活に戻れる。
- 短時間で施術が完了(30分程度)。
- 尿道周囲の組織を引き締めることで自然な改善を実現できる。
デメリット
- 軽度から中等度の腹圧性尿失禁に限定される。
- 保険適用外で、費用が比較的高額になる。
- 効果を維持するために複数回の施術が必要な場合がある。
- スターフォーマーProによる骨盤底筋強化のメリット・デメリット
メリット
- 通常の運動では鍛えにくい深部の骨盤底筋を効果的にトレーニングできる。
- 痛みがなく、リラックスして施術を受けられる。
- 手術を避けたい方や予防的なケアを希望する方にも適している。
デメリット
- 軽度の尿もれに対する効果が中心で、重度の症状には向かない。
- 継続的な施術が必要で、時間とコストがかかる場合がある。
- 即効性はやや低く、効果を実感するまでに時間がかかることも。
ヒアルロン酸注入による尿もれ治療のメリット・デメリット
メリット
- 短時間で施術が完了し、日帰り治療が可能。
- 効果が即時に現れる場合がある。
- 手術が難しい方や軽度から中等度の症状に適している。
デメリット
- 効果の持続期間が6~12か月程度で、定期的な再注入が必要。
- 保険適用外が多く、費用が比較的高い。
- 尿道周囲のみに効果が集中し、重度の症状には不向き。
尿もれ手術の費用の目安
尿もれ治療の費用は、治療法によって大きく異なります。
以下に主な治療法の費用の目安を示します(価格は平均的な例で、クリニックや地域により異なる可能性があります)。
インティマレーザー治療
インティマレーザー治療の費用は、1回あたり約10万円から15万円程度です。
軽度から中等度の尿もれに効果的で、複数回(3回~5回程度)の施術が必要になることもあります。
スターフォーマーPro
スターフォーマーProによる骨盤底筋強化は、1回あたり1万5千円から3万円程度が一般的です。
複数回の施術(通常6~12回)が推奨されるため、総額では10万円から30万円程度がかかる場合があります。
ヒアルロン酸注入
ヒアルロン酸注入の費用は、1回あたり20万円から30万円程度とされています。
効果は約6~12か月持続するため、定期的な再注入が必要となる場合があります。
尿もれ手術を受ける際の注意点
尿もれ手術を検討する際には、事前の準備や術後のケアを含めた計画が重要です。
以下に、手術を受ける際に注意すべき点を詳しく解説します。
自分の症状に適した治療法か確認する
尿もれには種類があり(腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁など)、それぞれに適した治療法が異なります。
医師と十分に相談し、自分の症状に最適な手術方法を選びましょう。
治療の目的と期待される効果
手術による改善がどの程度見込めるのかを確認してください。
また、手術後も骨盤底筋訓練や生活習慣の改善が必要になる場合があります。
リスクと副作用
手術には一定のリスクが伴います。
術後の痛み、出血、感染症、再発の可能性などについて詳しく説明を受け、リスクを理解したうえで決断することが大切です。
費用の確認
尿もれ手術は保険適用外となることが多いため、費用負担が高額になる場合があります。
事前に費用の詳細を確認し、高額療養費制度などの利用可能性についても調べておきましょう。
まとめ
尿もれ治療は、患者一人ひとりの症状や生活環境に合わせた選択が求められます。
低侵襲治療や手術治療にはそれぞれメリット・デメリットがあり、費用やリスクも異なるため、事前の十分な情報収集と医師との相談が不可欠です。
また、術後の生活改善や骨盤底筋訓練を継続することで、治療効果を長期的に維持することが可能です。
尿もれに悩む方は、専門的な治療を躊躇せずに検討し、快適な生活を取り戻す一歩を踏み出しましょう。
尿もれ手術や治療法について詳しい情報を得たい場合は、信頼できるクリニックに相談し、自分に最適な治療を見つけてください。

記事監修医師プロフィール
院長/形成外科専門医・医学博士
伊藤 蘭
2003年 | 山口大学医学部卒業 |
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2003年 | 京都大学医学部附属病院形成外科 日本赤十字社和歌山医療センター形成外科 |
2006年 | 島根県立中央病院 形成外科 |
2008年 | 松寿会共和病院 形成外科 |
2010年 | 京都大学大学院医学研究科課程博士(形成外科学)入学 |
2012年 ~2014年 | MD Anderson Cancer Center, Houston, USA. (Microsurgery Research Fellow) |
2014年 | Chang Gung Memorial Hospital, Taiwan(Microsurgery Fellow) |
2014年 | 京都大学大学院医学研究科課程博士(形成外科学)博士課程 所定の単位修得および研修指導認定 |
2015年 | 京都大学医学部附属病院形成外科 助教 |
2017年 | 城本クリニック京都院 院長 |
2020年 | ピュアメディカル西大寺院 院長 |
2021年 | くみこクリニック四条烏丸院 院長 |
2022年 | いとうらんクリニック四条烏丸開設 |